夜中に何度も起こされる…在宅介護の「眠れない夜」
夜になると、トイレやおむつ交換で何度も起こされて、ぐっすり眠れない。
そんな状況が続いていませんか?
介護は、本人の状態・家族の事情・住まいの環境・使えるサービスによって、本当にさまざまな形があります。
今回は、モニタリング訪問でお会いしたある利用者の娘さんのお話と、私自身の夜勤経験を通して、「夜間の介護」のつらさと、無理をしないためにできることをお伝えしたいと思います。
「夜、まったく眠れないんです」〜在宅介護をする娘さんの涙〜
モニタリング訪問で伺ったのは、要介護のお母さんを在宅で介護されている利用者さんのお宅。
平日はデイサービスを利用していますが、夜間と週末は娘さんが一人で介護を担っています。
「夜中に何度も起こされて、おむつを替えても、またすぐに『トイレ』って言われて…。
結局、ほとんど眠れないまま朝になるんです。
さすがにもう、体も気持ちも限界で……」
そう話す途中、娘さんの目には涙が浮かんでいました。
私が夜勤で感じた、眠れない介護の過酷さ
私自身も20代の頃、老人保健施設で夜勤の経験があります。
勤務時間は夕方17時から翌朝9時までの16時間。
ワンフロアに40人の入所者がいて、職員はたったの2人。交代で2時間の仮眠時間はあるものの、実際には業務に追われて休憩できないことも多くありました。
夜になると何度もナースコールを押す利用者さんがいて、そのたびにベッドサイドへ向かいます。
「お水が飲みたい」
「トイレに行きたい」
「……何でもない」
そんな対応を何度も繰り返しながら、他の利用者のケアや記録業務も進めなければなりません。
部屋を出るとまたナースコール。
体力的にも精神的にも追い詰められていきます。
疲れがピークになると、つい声が荒くなってしまうこともありました。
「さっきも行きましたよ」
「ちょっと待っててください…」
あとから「あの言い方は良くなかったな」と反省する日々。
夜勤は週に1度でも心がすり減るのに、それが毎晩続く在宅介護は本当に大変だと、あらためて実感します。
無理をする前に、声をあげてください
この日、私は娘さんに以下のような提案をしました。
- ショートステイやお泊まりができるデイサービスの利用で、夜間の負担を減らす
- 主治医に相談して、夜間のトイレや睡眠に関する薬の調整を検討する
そして何より、こうお伝えしました。
「すべてを一人で抱えなくていいんですよ」
「つらいときは、遠慮せずに声をあげてください」
まじめで責任感の強い方ほど「自分が頑張らなきゃ」と思い込んでしまい、限界を超えるまで我慢してしまうことがあります。
でも、それでは介護する側も倒れてしまいます。
介護者自身のケアが、何よりも大切です
介護を続けていくためには、介護する人が元気でいることが何より大事です。
睡眠不足やストレスが蓄積されると、心と体の健康に大きな影響を与えます。
もしあなたが、夜間の介護で限界を感じているなら…
どうか、「助けて」と言ってください。
あなたが声をあげることは、わがままではなく「必要なこと」です。
相談先の例:
- 地域包括支援センター
- 担当ケアマネジャー
- 主治医
- ショートステイや夜間対応の介護サービス
私たちケアマネジャーは、あなたの声を受けとめ、必要な調整や支援につなげる存在です。
これからも「夜は眠れていますか?」「休めていますか?」という問いかけを大切にしていきたいと思っています。
おわりに〜介護は、一人で頑張らなくていい〜
介護に「正解」はありません。
ただ、どんな形であれ共通して言えるのは――
介護は、一人で頑張らなくていいということ。
どうか、ご自身を責めないでください。
そして、あなたが少しでも楽になるように、支援の手を受け取ってください。
あなたの頑張りを、私はちゃんと見ています。
介護をしているあなたこそ、守られるべき大切な存在です。
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