【介護施設】いくらかかる?特養を中心に費用と仕組みを解説

お金の話

こんにちは。ケアマネージャーとして20年以上現場で働いている私が、今回は「介護施設の費用」についてわかりやすく解説します。

「親を施設に入れたいけれど、いくらかかるのかわからない…」
「年金しかないけど、入所できるの?」
こんなお悩みをお持ちの方は多いと思います。

この記事では、介護施設の種類とその中でも「特別養護老人ホーム(特養)」に焦点を当て、費用の目安や減免制度、入所の条件、さらには生活保護まで、幅広く解説します。


介護施設の種類とは?

介護保険で利用できる施設には、以下のような種類があります。

  • 特別養護老人ホーム(特養):要介護3以上。費用が比較的安く、長期入所が可能。
  • 介護老人保健施設(老健):リハビリを目的とした施設。在宅復帰が前提。
  • 介護医療院:医療ケアが必要な高齢者向けの長期療養施設。
  • 有料老人ホーム:民間運営でサービスの内容も費用もさまざま。
  • サービス付き高齢者向け住宅(サ高住):見守りや生活支援がついたバリアフリー住宅。

今回はこの中でも「特養」に絞って解説します。


特養の費用はどれくらいかかる?

特養の費用は、以下の要素によって変わります。

  • 部屋のタイプ(個室 or 多床室)
  • 本人・配偶者の所得や資産
  • 要介護度
  • 負担割合(1割〜3割)

個室と多床室の違い

  • 多床室(相部屋):月額約7〜10万円
  • 個室(ユニット型):月額約12〜15万円

 ※負担割合1割の場合

最近は多床室のある施設が減少傾向に

近年では建築基準やケアの質の向上に伴い、新設・建て替えされる特養は個室(ユニット型)中心となっています。
そのため、多床室を備えた古い施設は年々減少しています。

今は多床室で安く入所できても、施設の建て替えで個室に移行し、費用が増加する可能性もあります。

📝 将来の費用を見越して、施設見学時には「建て替え予定の有無」なども確認しておくと安心です。


要介護度で費用が変わる理由

介護度が上がると、加算項目が増えるため自己負担も増えます。
例えば、要介護3と要介護5では月に5,000〜10,000円ほど違う場合も。

また、特養の入所要件は原則「要介護3以上」です。
要介護1・2では、やむを得ない事情がない限り入所できません。


おむつ代は介護費に含まれる?

特養では、おむつ代は原則として介護報酬に含まれており、別途請求されることはありません。

ただし、以下のような場合には実費になることもあります:

  • 特定メーカーの商品を指定した場合
  • 家族が持ち込みを希望し、施設で管理する場合

「介護保険負担限度額認定証」とは?

所得・資産が少ない方は、「介護保険負担限度額認定証」を取得することで、食費・居住費が軽減されます。

認定証の段階と自己負担額

区分対象の目安食費(日額)居住費(日額・多床室)
第1段階生活保護、老齢福祉年金受給、年金収入80万円以下300円0円
第2段階年金収入80万円以下600円370円
第3段階①年金収入80万円超〜120万円以下1,000円370円
第3段階②年金収入120万円超(住民税非課税)1,300円370円
対象外住民税課税世帯実費(例:1,445円/食)実費(例:855円/日)

※金額は施設や地域により多少変動します。

【申請方法】

「限度額認定証」は、市区町村の介護保険課に申請します。

必要書類の例:

  • 被保険者証
  • 本人・配偶者の収入や資産の証明(通帳コピーなど)
  • 認印

申請の流れ:

  1. 申請書と必要書類を役所に提出(窓口または郵送)
  2. 市区町村が審査
  3. 認定証が交付され、施設に提示することで軽減が適用されます

✅ 配偶者の収入や資産も審査対象になるため注意しましょう。


【事例】年金のみの人が特養に入所したらいくらかかる?

条件:

  • 要介護3
  • 年金:月6万5,000円(国民年金のみ)
  • 資産なし(第1段階に該当)
  • 多床室を利用

試算結果(1か月あたり):

項目金額
介護サービス費(1割)約25,000円
食費約9,300円(1日310円)
居住費0円(第1段階)
雑費(日用品等)約5,000円
合計約39,300円

👉 年金のみでも、条件次第で特養への入所は可能です。


生活保護という選択肢もある

年金だけではどうしても費用が足りない場合、生活保護の申請も検討可能です。

生活保護を受給していれば、特養の費用(介護費・食費・居住費)は原則全額支給対象となるため、実質自己負担はほとんどありません。

生活保護を検討する人が相談する場所:

  • 市区町村の福祉事務所
  • 地域包括支援センター
  • 担当ケアマネジャー

まとめ

  • 特養は所得の少ない方でも入所できる公的な施設
  • 減免制度を活用すれば、年金のみでも入所可能
  • 多床室は減少傾向で、将来的には個室化による費用増も考慮を
  • 困窮する場合は、生活保護も選択肢に

「うちは無理かも…」と思っている方も、制度を知れば道が開けます。
まずはケアマネージャーや地域包括支援センターに相談してみましょう。


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